たまがわ No.156 2020.7.1
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人はいつでも変われる マイクロソフト本社所属でシニア・クラウド・アドボケイトという肩書で活躍されている寺田さん。所属グループの社員数は全世界で100名ほど、日本人では2名しかいません。「アドボケイト」という肩書は「提唱者」という意味で、日本や世界のエンジニアに対してマイクロソフト技術をわかりやすく開発者に伝えるお仕事です。 イベントでは常に顧客満足度で上位の評価をされているプロのプレゼンテーターの寺田さんも、大学3年生まではどこにでもいる学生の一人でした。そんな寺田さんがどのような環境で育ち、どのような人に影響を受け、今の仕事に就かれたのか、また夢についてもお話を伺いました。少年時代について影響を受けたご家族について 実家は、広島県福山市にあります。曽祖父が設立した鉄工所を一族で経営している家に生まれ、上京するまでの18年をそこで育ちました。勉強よりも、体を動かすことが好きで、大きな夢も持たないような子供でした。そんな私に多大な影響を与えてくれたのは、実の兄のような従兄弟の存在です。彼は若くして自分で会社を起こし、誰もが知っている会社にまで一代で築きあげました。大学進学時には東京への進路を指し示してくれ、就職・転職した後も、入社した事に満足していた自分に喝を入れ、そこで何を成し遂げるべきかを考えさせてくれました。人として社会人として成長するために重要なことを数多く学びました。彼がいなければ、今の自分は無いと言っても過言ではありません。大学時代について 大学に入学し、東京での1人暮らしが始まると、親元を離れた解放感から夜遊びや深夜のバイトに明け暮れました。気づくと留年までしてしまい親に迷惑をかけてしまいます。「今のままでは自分は駄目になる」と強く思うようになり、自分を見つめ直し将来について真剣に考えるようになりました。 それ以降は、周りが驚くほど変わり、コンピュータやインターネットに関する基礎知識の勉強に没頭しました。当初は情報通信工学科に入ったので、せめて人並みにパソコンが使えるようになって卒業したいと思う程度から始めましたが、インターネットが世に広まるタイミングに合わせて、その世界に深くのめり込んでいくようになりました。 不思議なもので、勉強すればするほど分からない事が増えていき、就職を考える頃には大学院でより深く学びたいと思うようになりました。面接の際、教授から「大学院は遊びに行く場所ではない」と言われたのを今でも強く覚えています。その時は、とても悔しい思いをしましたが、その後のバネにもなりました。大学院に進学後、担当指導教授のご縁もあって筑波にある通産省 産業技術総合研究所に2年間通い、国内最先端の研究者の元で学び研究をする機会を得ました。私にとって大学・大学院時代は人生において大きな転機をむかえる時期でしたが、自分が変わると、それにあわせて良い方々と巡り合うなど、好循環が生まれ出しました。今でも良き友人、良き師匠との出会いに心から感謝しています。今のお仕事の楽しいところは? 私が携わる仕事を通じて、直接交流するエンジニアや企業を幸せにしていくこと、そして新しいマイクロソフトを私みずからが作り出していくことをとても楽しく感じています。これからの夢と後輩へ一言 私は常日頃からIT/ICTの力を使って、これからの世の中をより良くしていきたいと考えています。いま東京大学の学生にアドバイスをしているのですが、彼らは舌癌で声帯を失った方々に対して、AI(Articial Intelligence)を利用して声を取り戻すための支援活動を行っています。また視覚の不自由な方に対しても、携帯電話やスマートメガネを利用して人間の眼の代わりに画像、動画などから周りの状況を知らせる機器などもあります。今までのITではできなかった事ができる時代になっています。IT/ICTの力で人間の生活をより良く豊かにしていきたいと思っています。 後輩の皆さんへは「人はいつでも変われる」というメッセージをお届けしたいと思います。変わろうと思ったタイミングで人は変われば良いと思います。そこに早い、遅いは関係ないですし、47歳になった今でも私は成長ができていると考えています。やるかやらないか、できるかできないかです。希望する企業に就職できたという所で満足するならば、企業の中で単なるコマにしかなりません。その場合、代えはききますし、不況などが訪れ企業が危機的な状況に陥ったときにリストラに遭う可能性もあります。そうならない為にも、自分はそこで何を成し遂げるのか、どれだけそこで自身の価値を見いだせるのかを考えて行動するのが重要になってきます。 自分を変える事が出来るのは、信じる事が出来るのは自分だけです。そして自分が変わると周りも変わっていきます。良い巡り合いも増えてきます。努力を重ねた人の所にチャンスは巡って来ます。在学生の皆さんは、ぜひ夢を持って大切な学生生活を過ごしてもらいたいです。寺田 佳央さんマイクロソフト・コーポレーション工学部情報通信工学科1997年卒同大学院工学研究科電子情報工学専攻1999年修了 卒業後、富士ソフト㈱に就職。その後オラクル(サン・マイクロシステムズ)を経て、2015年日本マイクロソフト㈱、2018年マイクロソフト・コーポレーションに席を移し、現在デベロッパー・リレーションという本社直属のグローバル組織に所属。主に同社が提供するテクノロジーを、日本をはじめ世界中のエンジニアに対して紹介している。 2013年 日経 BP 主催の「我らプロフェッショナル 世界を元気にする100人」に選出される。 2016年 当時世界で約 200名しか存在しない「Java チャンピオン」に、日本人で2人目として選出。国内外で開催される各種 IT イベントで登壇する他、オンライン・メディアに技術情報を投稿するなど活躍している。10我ら玉川っ子

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