たまがわ No.156 2020.7.1
7/24

の空気にどこか似たものを感じたからなのかも知れませんが、善いインスピレーションを受けました。 学部での授業以外はほとんど毎日、美術部の部室で深夜まで油絵、アクリル画を描いていました。そのうち、自分の世界を自分だけの空間で展示したい、という思いが高まり、大学3年時に2度、渋谷のギャラリーで個展を開催いたしました。 この時に、資生堂のデザイン室のチーフや、ファッション関係者、画廊の方々と知り合いになり、自分の表現によって人の輪が生まれることを知ることとなります。 当時の美術部に在籍していたメンバーは今思うと、面白いメンツで溢れていました。のちに著名漫画家となる者や、イラストレーターなどが在籍しており、彼らと深夜に鍋を囲んでくだらない話や、悩みを語らっていた日々は私にとって宝です。彼らに囲まれていたからこそ、私も表現的自立を果たさなくては、との思いが高まり個展を開き、のちに英国へ渡ることになったと思います。これからの夢 大蔵山スタジオを世界最高峰の工房兼ギャラリーに昇華させていくことです。 弊社には世界最高基準の製造スタッフが揃っており、社の敷地からは芸術家に愛されてきた伊達冠石という石材が産出いたします。先代である父は大蔵山を「山にいのちを返す」という使命のもと、採掘跡の整地および、地中から産出した巨大な伊達冠石を大地に祀るというユニークな取り組みを行っており、ストーリー性を見てもこの地にしか無いオリジナリティを持っています。この秀でた環境をしっかりと伝えることが私の使命です。幸いにも世界最高峰の国外ギャラリーでの展示会のお話やアートフェアへのお誘いなどをいただいている状況となっており、夢へ向かって日々邁進しています。後輩へ一言 頭で将来を予見し考える時間も確かに必要ですが、行動してみないとわからない。 私の体験として、直感にもトレーニングが必要だと思うのです。とにかく善いもの、面白いことをやっている人に逢うこと。この蓄積が直観を生み出します。国内にも素晴らしい場所や人が溢れていますし、迷ったら憧れている人に直接会ったり、いいなと思った場所へ直ぐに行って見ると善いと思うのです。ぜひ在学中に直感を養い、将来の糧にしいいただきたいと思います。※伊達冠石(だてかんむりいし) 2000万年前に生成された両輝石玄武岩質安山岩に分類される玄武岩溶岩・火成岩。鉄分を多く含み非常に石目が詰まっているため、水分を含みにくい。大きな特徴は、表面と内部の表情が全く異なる。石の表面はひとつとして同じ表情はないが、中は一様に黒灰色を呈し、年月とともに鉄錆色が少しずつ強まるなど経年変化する。編集を終えて 鼎談の日程が決まり、どのようなお話しが伺えるのか、どうお話が発展するのか緊張とワクワクした気持ちでいたところ、自粛要請となって実現できなくなりとても、とても残念でした。 坂上さん、梅園さん、山田さんからいただいた原稿からは「突き詰めること」の大切さを感じました。迷うこともあるでしょうが、どんなに些細なことであっても、そこから広がる世界があることを信じたいと思いました。先ずはやってみること。緊急事態宣言で学んだことも活かしながら、もう一歩前へと進みたいと思いました。写真左からお父様の山田政博さん、小原学長、山田能資さん7ALUMNI and ALUMNAE │ 活躍する卒業生

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る