たまがわ No.156 2020.7.1
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 90年の歴史を刻んできた玉川の丘では、新緑に始まり、木陰を吹き抜ける風の心地良さ、日々色づく紅葉の深さ、冬木立から見える月の美しさを肌で感じながら過ごしていました。しかし大きく育った木々は老朽化して近年の台風等で大きな被害を受け、危険な状態となって整備されました。桜の木もその一つ。伐採されて少し寂しくなった丘に、和歌山支部からの嬉しい提案がありました。クマノザクラを寄贈するきっかけ 私が卒業してから農学部の岡田一次先生はじめ佐々木正己先生、吉田忠晴先生、小野正人先生が和歌山を訪れた時は日本ミツバチの飼育現場を案内するなど、農学部の先生方と交流を持ってきました。 古座川町長をしていた2011年、IBクラスの生徒が研修で熊野古道を歩く予定だが、英語での案内人を紹介してほしいと学友会事務局から頼まれてそのお世話をしました。 生徒の皆さんは8月30日新宮市に一泊、熊野古道を歩いて高野山を経由して東京に帰られました。その直後、9月2日から降り続いた台風23号の豪雨による紀伊半島大水害で、古座川町は甚大な被害を受けました。それを知った熊野古道を訪れた生徒さんたちは、古座川町へ義援金を贈ろうと募金を始めたそうです。小原芳明先生は生徒が集めた義援金に多くの額を追加し、古座川町の復興資金として贈ってくださいました。 2012年から続いている大学コスモス祭での古座川町の物産販売。そして2015年6月には玉川学園と古座川町の包括連携協定締結。教育の連携では玉川アドベンチャープログラムの指導。産学連携では古座川町内で採れる日本ミツバチのはちみつ販売や観光振興計画の作成など数多くの協力をいただきました。小原芳明先生はじめ、学園関係者の皆さんからいただいた古座川町に対する恩恵と協力に、何らかの形で恩返しをしたいと常々思っていました。 昨年、玉川学園が90周年を迎えるに当たり何かできないかと考えた時、古座川町内に多く自生している100年ぶりに見つかった桜の新品種『クマノザクラ』の苗木を贈ろう、毎年10本ずつ10年後の玉川学園100周年には100本のクマノザクラの花を学園で咲かそうと思い、小原芳明先生に手紙を書いたところ快く受けていただき、和歌山県支部として第1回目の苗木の贈呈を2月27日に行いました。2月27日 クマノザクラ贈呈式 写真左から佐藤学友会会長、小原学長、武田支部長玉川の丘にクマノザクラが咲く日武田 丈夫さん 農学部農学科1972年卒和歌山支部長8我ら玉川っ子

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