たまがわ No.157 2021.7.1
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島川あめ店〒930-0058 富山市古鍛冶町6-7 TEL/FAX 076-425-5104HP https://shimakawanoame.jp/ 黒部ダム、砺波のチューリップ、そして古くは薬売りで有名な富山には301人の卒業生がいます。350年続く老舗とチーズを作り始めて8年目という物づくりに携わる二人の女性をお訪ねしました。高等部 1965年卒おっしゃる島川さんのにこやかなお顔は、やさしく甘くこちらまで穏やかな気持ちに包まれます。 お訪ねしたときには丁度、横浜市にお住まいというご長女の島川敦子さん(短養67)が、あめ店の左隣にあるオーストラリアンプリザーブドフラワーのお店にいらしていました。お花の教室を主宰し、横浜からお一人で運転していらっしゃるとか。そしてあめ店の右隣にあるビルには妹の内山雅子さん(高等69)が1階で喫茶店、2階でインポート物のブティックを経営されています。喫茶店のメニューにあるホットケーキにはメープルシロップの代わりに島川の麦芽水飴がたっぷりと添えられています。「ナッツにかけると美味しいよ」と島川さんのご主人様からはミックスナッツに、できたての水飴をかけてくださいましたが、どちらも控えめな甘みで食が進みます。 麦芽水飴のほか、たぐり機にかけて空気を含んだ小粒あめや豆菓子などもあります。お店のホームページから取り寄せることもできますが、年に1回の日本橋高島屋グルメのための味百選にも出店されています。▶内山 雅子さん◀島川 敦子さん喫茶店「ばっろっく」は静かにジャズの流れる喫茶店。ログハウスのお店「花工房」の中にはドライフラワーが溢れ良い香りがしていました。10 島川さんで14代目という『島川のあめ』は江戸時代初期の創業。その頃、医薬の知識に通じていた藩主が「越中富山の薬」の製薬・売薬を富山の産業として領民を導いたそうです。その丸薬のつなぎや苦みの強い薬を飲みやすくするために麦芽水飴が使われるようになり、富山で飴造りがさかんになったそうですが、今では丸薬に使われなくなったことや砂糖の普及で富山では島川さん1軒のみとなりました。 工場を案内していただくと、飴の原料となる澱粉と麦芽を昔から変わらず5つの大きな鉄釜を移し替えながら炊き上げるという方法で、今も2日間かけて手作りされています。 この仕事も最初の頃はいやだなと思ったことがあったそうですが、「まさか自分が跡を継ぐとは思ってもいなかった飴づくりですが、こうしてみると向いていたのかもしれないわ」と島川さん。 島川さんは三姉妹の次女ですが、お店を継ぐためご主人様がサラリーマンを辞めてお二人で後を継ぎました。20年ほど前、薬の原料として納めることが無くなってからは食べて美味しい飴をと作り続けています。「江戸時代から受け継がれた匠のわざで作り上げられた飴は、奥深い味がします。でも、作り方はとてもシンプルなんですよ。主人もさらに良いものを目指し、美味しい飴を追求し続けています。今は両親そして跡を継いだ主人に感謝しています」とおっしゃいます。 「玉川のモットーは私の生きるお手本。どんな時も前を向いて進める道しるべ。原点かな。想い出は労作や讃美歌をうたったこと」と、たいへんな時には運転をしながら校歌をうたったそうです。そして「『大切なものは何か』ということを玉川で触れたことが今につながっていますが、年齢を重ねたからいえること」と島川さん。 工場と隣接したご自宅のお庭には山野草が咲いていました。その山野草を育てながら生涯現役を目指していますと我ら玉川っ子 │ 活躍する卒業生島川 とも子さんTomoko Shimakawa

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