たまがわ No.157 2021.7.1
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〒938-0864富山県黒部市宇奈月町栃屋字広谷4 くろべ牧場まきばの風内 Y&Co.チーズ加工舎HP https://www.y-kosan.com/ 老舗のあめ屋さんお訪ねした翌日、(有)吉田興産のヤギ育成・搾乳およびチーズ加工製造部門として2014年に開業したY&Co.に向かいました。 富山市内から車で約40分。標高425mに位置する牧場からは、富山湾と遠く能登半島まで一望できる素晴らしい環境の黒部市営牧場「くろべ牧場まきばの風」の中にヤギ牧場はありました。▲撮影のためわざわざ着替えてくださいました。11 「中・高等部では英語劇にのめりこみ、気が付いた時には受験準備を何もしていませんでした」と吉田さん。そこから進路を音楽の道に進もうと決めてアメリカのバークリー音楽大学に進学。「入学してみたらクラス全員、マライア・キャリーみたいな人ばかりでした」と、作業着姿の白い半そでTシャツの吉田さんから笑みがこぼれます。 大学でミュージックビジネスマネジメントを学び、アメリカのレコード会社に就職。運転免許を取得するため帰国した際に縁あって日本で歌手活動を始めました。 そんな吉田さんに転機がおとずれたのは、ご両親と全員玉川卒の四姉妹が揃った2011年のお正月。「父が突然、黒部でヤギを10匹飼っていると言いました。その時は『へー』で終わったのですが、1年後の2012年に『ヤギが30匹になった。誰かチーズ職人になってくれないか』と言ったときは家族全員目をそらしましたが、父のなかには私に後を引き継いでほしいと思う気持ちがあったのではないかと思います」 YKK創業者のおじい様は故郷富山で農業をすることが夢でした。その夢の実現にむけてお父様が黒部でヤギを飼い始めていたのだそうです。 畑仕事が好きで家庭菜園も手掛け、食育インストラクターの資格を持ちながら、歌手としてNHKの教育テレビの番組などにも出演されていましたが、歌手だけでは生活ができるほどではなかったそうです。音楽を続けながらチーズを作ることはできると思い、2012年の夏に答えをだしたそうです。 そこから始まったチーズ作りの勉強先はイタリア。何故イタリアに決められたのか伺ってみると「イタリアでは、チーズはお料理に使う食材の一つと感じたので、食材が豊かな富山の恵みと一緒にお料理にも使ってもらえるチーズを作りたいと思いました。といっても、ツテがあった訳でもなかったので、インターネットでイタリアのチーズ生産者のことを調べてみると、チーズの生産者の元を訪れてはブログにまとめている現地在住の日本人女性のサイトに行きつきました。その方に、生産者を紹介してください‼︎とメッセージを送り、快諾していただいてイタリアでのチーズ作りとなりました」とチーズ作りに邁進された様子がうかがえました。 「苦しいことはありません。強いていうなら忙しいことかな。チーズの原材料となる美味しいミルク作りから、でき上がったチーズの答えが出るのが1年後。長い目でみなければならないもどかしさもありますが、のんびり楽しみながら作りたい」と地元のラジオ3局にパーソナリティとして出演もされています。「レストランでチーズを使ってもらっていますが、ここ富山に来るために旅行してほしい。いいものをきちんと作っていれば、黒部を知ってもらえるから」と2014年からは富山県人となって、美味しいチーズ作りに励んでいらっしゃいます。 「畑や掃除、礼拝、そして何より音楽で表現することの楽しさを知った学園生活でした」とおっしゃる吉田さんのチーズ作りは玉川のDNAが土台となっているようです。 P18~19でご紹介していますが、オンラインショップからチーズの他にヨーグルトやミルクをお取り寄せできます。ヤギのミルクは牛乳アレルギーの方におすすめです。我ら玉川っ子 │ 活躍する卒業生吉田 朋美さん高等部 2000年卒Tomomi Yoshida

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