たまがわ No.157 2021.7.1
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新作落語を得意とする落語家の古今亭駒治(村本草介)さんにお話を伺いました。毎年、リベラルアーツ学科1年生を対象に在学生支援の一環として学友会寄附講座をしていただいています。~きっかけは~ 父が落語が好きで、ラジオで米丸師匠の新作落語を録音してくれたものを小学生の頃に暇さえあれば聞いていました。 大学1年生の時に新宿へ古い建物を見に行ったら、そこが末廣亭でした。その時に落語が面白くてハマってしまい通い詰めました。寄席の出演者や内容は、上席(毎月1日~10日)、中席(毎月11日~20日)、下席(毎月21日~30日)ごとに変わりますが、10日間中8日間通いました。~落語家になるには~ 落語家になるには、オーディションがあるわけでもなく、修業をしなくても面白ければなれると思いますし、これから変わっていくと思います。ただ、修業をしているおもしろさもあるし、修業をして一人前になっていく人を見るというおもしろさもあると思います。 若い人がどんどんでてきています。玉川の後輩落語家がきたらおもしろいと思います。~新作落語ネタづくりについて~ その時に興味のあること、好きなことで年間15席ぐらい作ります。去年は車の免許を取ったので、車関係の落語を作りました。時には、その日の朝に作り終え、覚えないまま披露することもあります。ウケを見てここはダメと変えたり削ったり、その中から残っていきます。忘れることもしょっちゅうありますが、本当にダメと思った時には正直にお客さんに言ってしまいます。三遊亭円丈師匠が自分の表現、好きなもの、違うものを続けてくれ、新作落語の概念を変えてくれたからこそ自分も続けられると思います。■ https://komaji.net/ ■ ツイッター:@komajix1978年 東京都渋谷区幡ヶ谷生まれ2003年 玉川大学卒業後、古今亭志ん駒に入門 前座名「駒次」2007年 二つ目昇進2010年 共同通信社 主催 東西落語家 2013年 交通新聞社新書「鉄道落語」を共著 2017年 しぶやらくご創作落語大賞受賞「10時打ち」2018年 古今亭志ん駒死去にともない、古今亭志ん橋に入門。 現在 コンペティショングランプリ受賞「公園のひかり号」(柳家小ゑん、桂梅団治、桂しん吉)で出版。 「鉄道戦国絵巻」「都電物語」を収録真打昇進「駒治」に改名自作の新作落語で活躍。身近なテーマを落語にしている。特に鉄道落語は、寄席や鉄道落語会の他、鉄道博物館など、様々な場所で披露している。7 学生時代の授業は今考えれば面白いと思いますが、その当時はつまらなくて眠いと思っていました。吹奏楽団に入りホルンを担当しました。奏楽堂に毎日通い、聖山で練習をしたり、入学式・卒業式・体育祭・音楽祭と行事には必ず参加していました。授業よりも部活優先の学生時代を送っていました。 高校生の時に授業で見に行った落語はつまらないという印象だけで内容も全く覚えていないのですが、この時は、みなとても面白く、自分だけの秘密をみつけたと思いました。 落語家になりたいと思ったのは大学2、3年生の頃です。特に落語について何か勉強していたわけではなく、ただひたすら聴きに行きました。初めて落語に挑戦したのは大学4年生のコスモス祭です。間で友達がギターを弾いたり、筝曲部の友達が三味線を弾いたり、着物をきて古典落語と自分で作った新作落語の2席を披露しました。 その後、大学4年生の2月に1ヶ月ほど師匠のところに通い、卒業式の次の日に入門しました。 新作落語には特にルールはなく、落語になっていればよく、登場人物が話しているのが落語です。聴き手が想像できるような、耳で聴いて頭の中で想像力をふくらませ情景を思い浮かべる。テレビではなくラジオに近いのかもしれません。 落語は小説みたいに読み返すことができないのである程度慣れが必要かもしれません。 自分がすごいなと思った言葉は聞いたらいいし、マイナスなことを言ってきたり、こうじゃないとだめだとか夢を潰すようなことを言ってくる人、人のことを笑うような人を気にすることはないです。 好きなことをし、ある程度好きに生きたらよいと思います。 あきらめずに続けたらまわりも諦め、認めるようになります。 幼少期には鉄道が大好きで車掌さんになりたいと思っていた駒治さん。数年のうちには日本中の鉄道を制覇したいという夢があるそうで、『鉄道落語』の本も出版されています。『落語』は、日本の伝統的文化の一つで難しそうなイメージを持っていましたが、お話を伺ううちに魅力を感じました。あまり落語に興味のなかった方も、わかりやすく親しみやすい『鉄道落語』や『野球落語』など新作落語から聴いてみたらいかがでしょうか。古今亭駒治さん本名:村本 草介文学部芸術学科芸術文化専攻 2003年卒我ら玉川っ子 │ 活躍する卒業生吹奏楽団に没頭した大学時代落語家になる後輩へ

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