たまがわ No.157 2021.7.1
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 震災や豪雨など自然災害に心痛むニュースが流れます。そんな時、物資を送る、ボランティアとして参加するなど個人で行うことが多いと思いますが、同じ学科の卒業生がボランティア団体を立ち上げ、活動を続けているのが「児童夢基金」。中心メンバーである髙岡哲郎さん(芸児85)、亀石 亮さん(芸児85)、青柳(金井)由美子さん(芸児90)の3人にお集まりいただき、お話を伺いました。青柳 方勝先生(元文学部芸術学科教授)の定年退職のお祝いをしようと文学部芸術学科児童専修の1期から12期の各期の幹事が集まって企画をしている最中、東日本大震災が起きました。岩手県陸前高田で小学校の先生をしている小笠原(澤村)ちとせさん(芸児90)から、「津波ですべてのものが流されてしまって子供たちのランドセルも文房具も運動靴も、もう何にもなくなってしまった。助けて」というメールが1本飛んできました。すぐに幹事にメールを流しました。これは大変だと一気に立ち上がって、先ずは髙岡さんがホワイトボードを調達してくれました。それを郵便局から送るという作業に入ると現地の郵便局も流されていてルートも無い。どうしましょう!となったときに髙岡さんがトラックを手配してくださったのです。東京都、横浜市、川崎市を中心に山のように集まった荷物を10トントラックに積んで3月31日に発動しました。その後も、方先生の会の幹事が中心のボランティア団体として大学のコスモス祭参加や自由が丘の女神祭りでのチャリティーバザー、有志に声をかけて卒業生である川平慈英さん(高等82)、鈴木壮麻さん(鈴木孝次・外国83)他の力も借りてチャリティーコンサートで収益をあげてほそぼそと10年、支援を続けています。今は福島県、宮城県、熊本県、佐賀県に広がりましたが、最初は2011年3月11日の一報からです。髙岡 楽しいことばっかり。青柳 楽しい出会いや嬉しいこともたくさんありますが、前に進もうと思ってもなかなか活動を広げるためのPRができなくて、自分が空回りしているような、何か悲しい気持ちになったりします。学長先生が、亡くなった児童夢基金の副理事長 羽田雄一郎さん(芸児92)のことを『全人3▲左から 髙岡哲郎さん 亀石亮さん 青柳由美子さん佐々木和子さん(教育73)のお店 湘南倶楽部にて8月号』に書いていただいたりすると「あ~私たちのやっている事は意味があることだったんだ」と、勇気をいただきましたね。亀石 実はみな苦労を苦労と思っていない。青柳さんが言っているのは難しさというか、やりたいと思うことに対する障害であって、ここは歯を食いしばって頑張らなくてはいけないとは感じていない。それは玉川のメンバーだけで非常に近しい価値観で共有できているというのが、夢基金の体質の特徴として一つあげられると思います。青柳 やはり玉川のモットーがものすごく根底にあって、どの人もいやな顔をせずに率先してやりますね。亀石 我々の将来の活動にも影響していると思うのですけど、1回支援すると活動が完成しちゃうんです。そこから広がっていくということがあまりなくて、独りよがりになりがちだということの難しさかな。青柳 それもあるし、せっかくいい関係ができたのに、先生が異動されてしまったら一からの話になってしまう苦労はありますね。亀石 間違いなく喜んでくださっていても、そこで人が変わるとその話は引継ぎ事項でもないでしょうから、関係が終わってしまうのでしょう。髙岡 最初の発送準備でびっくりしたのは児童夢基金という名前も無い時にみな、めちゃくちゃよく働くんです。これみんな児童専修の卒業生なんだ!よく働くと。そのパワーに僕は圧倒されちゃって、小原國芳先生の言っていることはこれかと思って。自分が辛いと思ったことではなくて、はたから見るとこんなに辛いことを笑顔で行動ができる人になれということで、何も苦しいことを笑顔をもってやれと無理なことを言っているのではなくて、こんな風に見える人になれということと思ったときに”あっ!響く!”この行動をうまくいくように手伝いたいなと思いました。 うまくいくためにはトップは誰がいいのかとなったらハタ坊(故羽田雄一郎さん・芸児92)でやりたいと。羽田君が我ら玉川っ子 │ 活躍する卒業生児童夢基金の発足したきっかけこの活動を通して子供たちの 未来のために

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