たまがわ No.158 2022.7.1
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2021年は全人教育という言葉が誕生してから、ちょうど100年を迎えました。その歩みについて、どのようにお考えになりますか。学長 八大教育思想で発表されたのが大正10年。教育方針として生き残っているのがオヤジさんの全人教育論でしょう。時代と社会の変化についてこられたのは、少し抽象的に真理を追究するとか、善の追究など理想を掲げてきた教育信条ですが、むしろ具体的にこれを教えろ、これを学べというものがなかったからこそ、時代の変化にも耐えてこられたのかなという気がします。その時代、時代の社会の在り方によって当然ながら教育も変わると思われますが、変化に耐えられた非常に芯の強い教育思想だったのではないかという気持ちがしていますね。 もし、オヤジさんが今の「VUCAの時代」に戻ってきたとすれば、VUCAだからこそ「真・善・美・聖・健・富」だと言ったのではないかなという気もしますね。それが今、全人教育提唱101年目に入った感想です。会長 学長先生のお話を伺って本当にそうだなと思いました。初代の國芳先生が提唱なさった全人教育を継承してきたということは、並大抵のことではないと思います。哲郎先生は東西のキャンパスを、松陰橋を新しくすることによって結びつけられた。芳明先生は全人教育を次代に生かすという「ESTEAM」教育という、形をおつくりなりました。この世界に類をみない全人教育の継承は、卒業生の一人として本当に誇りに思います。ワンキャンパスで幼稚園からお二人はお孫さんと教え子に当たられますが、國芳先生にかかわるエピソードはありますか。学長 あまりにも身近すぎて…(笑)。オヤジさんが歳を取ってから、忘れ物をしたから久志まで持って来るようにと電話。枕崎までは電車で行けたんですが、夜になってタクシーの運転手さんに「久志まで」と言ったら、「久志ってどこ?」と。何とか久志まで行ってオヤジさんが宿泊している旅館を探し当てました。しばらくして尾辻さんがいらしたのですが、尾辻さんの名前を言うのだけれども、わからない、わからない。お・つ・じ、と切って言ってもぽかんとしてるのね。それでおつじ〜と語尾を上げていったら、「なにもたもたしてるんだ。大事な方だからすぐにお通ししなさい。」としかられた。発音、アクセントが違う。これが方言と標準語の違いかも。久志にいる時は何を話しているのかわからない。ゼネレーションギャップ、コミュニケーションギャップ、そんな思い出があるなぁ。会長 私はゴルフ部で、当時のゴルフ部部長は哲郎先生でした。哲郎先生に練習場がないのでどこかに作っていただけませんかという話をしたら、哲郎先生もさるものでじゃあ君たちの労作で作ったらいいじゃないか。どこに作ればいいかオヤジさんに話をしておくから、直接行ってきなさいとおっしゃって。森繁建さん、僕とあと数人で國芳先生4大学院まででしょう。開校当時から続いているんですよ。そんな学校が他にあったら教えてほしいと思いますよね。学長対談 │ 小原芳明学長×佐藤敏明会長佐藤 敏明 学友会会長 (工学部経営工学科1967年卒業)小原 芳明 理事長・学長・学園長 (中学部1961年卒業)学友会創立70周年にあたって

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