たまがわ No.159 2023.7.1
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「FRESCO(フレスコ)」情報営業時間: 毎週月水金の午後2時~6時 場  所: 神奈川県横浜市保土ヶ谷区西谷町962 電  話: 090-2646-4147(ただし、3月~4月上旬までは休み)相鉄線西谷駅北口より3分▲苅部農園直売所「FRESCO」にて横浜市で江戸時代から続く農家の13代目「苅部農園」代表中学部から玉川学園で学び、玉川大学農学部農学科へ進学、卒業市内15か所に点在する農地で年間約100品目の野菜と果樹を栽培自らの直売所で地産地消を目指した都市型農業を実践「第52回日本農業賞」の「個別経営の部」特別賞を受賞5苅部さんは、今年日本農業賞「個別経営の部」大賞に次ぐ特別賞に神奈川県で初めて選ばれました。農園のある横浜市は人口350万人以上の大都市。その都市で持続可能な農業を目指し、さまざまな可能性に挑戦しています。 今回の日本農業賞では「集団組織の部」で宮本悟郎さん(農学部農芸化学科1985年卒)が代表を務める広島県尾道市瀬戸田町「せとだエコレモングループ」も受賞されています。学友会ホームページ・卒業生のお店 「ショッピングモール」にも掲載されています そこには、さまざまな工夫がありました。オリジナル品種を考案したのもそのひとつ。自らの手で育てた苅部ブランド「苅部大根」「苅部ネギ」「苅部人参」は、他では手に入らない珍しい野菜として、家庭で楽しむだけでなく、レストランなど飲食店でも人気に。 都市型農業の未来を考えた活動もしています。地元の子どもたちに農業を知ってもらう体験活動や講演。苅部農園の農作業を手伝いながら技術や知識を学ぶ「農業塾」や就農をサポートする「百姓塾」を開くなどしています。我ら玉川っ子 │ 活躍する卒業生苅部 博之さん (農学部農学科1994年卒業)「苅部農園」の13代目へ 苅部さんは大学卒業後、一度は一般企業へ就職。25歳の時、農業を継ぎたいという意志をお父様とお兄様に伝え、農業の道へ。 当時は、市場へ野菜を卸すのがあたりまえの時代。横浜の野菜は市場に持っていくと、半値くらいでしか扱ってもらえず、「父は野菜作りがとても上手な人だったので悔しい気持ちがあった」と振り返ります。 お父様の後を継いでからも、どうしても大産地の農業地域には負けてしまう現実に、やりがいを失いそうになったこともあったそうです。しかしある時「地方になくて横浜にあるもの。それは人口だ」と気づきます。玉川へ 玉川学園へ通うことを決めたのは、中学部の学校見学。「あの環境を見たら誰でも行きたくなりますよね」と苅部さん。大学の農学部では食料経営学について学び、卒論のテーマは『農作物の流通について』だったそうです。 「玉川の人たちとは妙な連帯感がありますね。今でも気の合う仲間と情報交換をしていますよ」とのこと。その中には農学部の同級生、カルちゃん、ツトちゃんと呼び合う仲間、横浜関内の老舗天ぷら屋「登良屋」の次男、荒井勉さんのお名前も。苅部さんの採りたて野菜を使っているそうです。挑戦をはじめる 「人口の多い横浜市だからこそ、消費者の心を掴めば農作物は売れる」そう信じて挑戦をはじめました。 市場に野菜を卸すのをやめ、おしゃれな直売所、イタリア語で「新鮮」を意味する「FRESCO」を建てました。単価の高いくだものやハウス野菜を並べるのではなく、路地野菜を主力にして直売所で売るというスタイルは、当時は無謀にも思える試みだったそうです。しかし、時代の変化と共に地産地消への理解者も増え、徐々に追い風が吹いていくことに。これから… 夢は、所有の土地に自分で育てた野菜が食べられる「農家レストラン」を開くこと。プロのシェフが作ったものを提供する本格的なレストランだそうです。 14代目についても伺ってみました。お子さんは男の子がお二人いらっしゃるそうですが、農業が魅力的に映れば跡を継いでくれるのではないかとのことでした。

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