たまがわ No.160 2024.7.1
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午前10時。「水鳥の調査をしてきました。ついさっき終わったところです」と、活動の拠点となっている石神井公園の野外ステージのベンチでお話しを伺いました。なり、カイツブリが少なくなっていたのですが、3年前のかいぼりによって、ヒナでも食べられる小さな魚が増えて爆発的というくらい、カイツブリが増えました。かいぼりや湿地帯の整備など、実施前後の違いをモニタリングすることで活動の必要性をアピールする資料のデータをとっています。ここでは、カイツブリとサギが繁殖していて、他にもカモ類やセキレイ類が生息しています」 池の縁で寝ていたカモの話におよぶと、「寝ているようで良く見ると目がぱっちりあいているんですよ。二羽でいると片方がゆっくり休んでいて、片方は寝ている風でいてめちゃくちゃ警戒している場面もみられます」と優しく柔らかい声で話す平岩さんの笑顔がとてもチャーミングでした。 自然観察施設を効果的に管理運営することによって、地域の自然を保全し、自然への理解を深めるために、自然を学び親しむ機会を提供する市民活動の団体。るということに重きを置いています。自宅で楽しんでいたアクアリウムの水槽一杯でも捨てると池全体の生態を脅かします」と平岩さん。ほんの少しと思っていることが実は大変なことになることを知り、驚きました。シロクマが絶滅するとか、温暖化で島がなくなるとか、地球規模の問題をテレビで観て、人間の生活によって地球全体の調子が悪くなっていることは良くないなと思っていました。自分が何に役立てるのか。大きく考えるとあまり達成感が得られない、規模が大きいと何年計画にもなりモチベーションが持たないかもしれないな」と、堅実的な考え方を早くなぜ生態工房に我ら玉 川っ子 │ 活 躍する卒 業 生認定NPO法人 生態工房今日はどのような調査をNPO法人生態工房とは興味を持たれたのは 「在来の小さい魚を外来魚が食べてしまってエサがなく 「特に都市の公園などの水辺の自然環境を再生、復元す 「漠然と環境問題に興味をもったのは高校生の頃です。から持たれていたようです。 「大学2年生のときにオーストラリアに留学しました。現地の人は環境意識がすごく高くて、散歩している人が今この花が見ごろですとか詳しくて、地元のことを良く知っていることがいいと感じ、私も身近なところで役に立てたらいいなぁと思いました」 留学中は日本人だけのクラスであまり英語は上達しなかったと言う平岩さんでしたが、留学によってご自身が目指すものが見えてきたようです。 「生態工房の資料に『身近な自然をコンセプトに…』とあったのを見て、私がやりたいことはこれに近いのかもしれないと思い大学3年の時、インターンシップに行きました。屋外活動をしてこなかったので辛かったのですが、ビフォーアフターが分かりやすく、水面が開けるとトンボが来たりしてなんか楽しいかもしれないと感じました」 インターンシップを終えてアルバイトで加わり、続けていきたいと就職された平岩さんの、ゆるぎない思いが伝わってきました。 「自分の中では、人間が環境を狂わせていると思います。育った環境もあるのかもしれないのですが、私が子供の頃には子供向けの環境学習といったイベントなどがほとんど無かったので、生態工房の活動にある、環境学習を通して少しでも学んで大人になってほしいという気持ちが、生態工房に入ってから徐々に芽生えだしたところです。 どちらかというと事務作業が辛いですね。外での活動は肉体的には大変ですが、結果が出ることが多いので、頑張ってよかった!と活動が報われます」今は楽しいことの方が多いとか。取材を終えて お話しの後、水生生物の捕獲ワナを設置している場所でボランティアの方と行っている作業を案内してくれました。 ワナにかかった生物を瞬時に見分ける平岩さん。地域の自然に興味を持ってほしいと、地道な作業に取り組む姿が頼もしく感じられました。5平岩 來海 さん(農学部環境農学科2021年卒)身近な環境を守ります

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