学友会より

工学部寄附講座 開催報告

日程 : 2022年11月12日(土)
講師 : 西成 活裕さん
題目 : 渋滞のサイエンスと社会実践
    ~オリンピックからイグノーベル賞~

 工学部創設60年を記念し、コスモス祭期間中開催されているテクノフェスタで東京大学先端科学技術センターの西成活裕教授の講演が行われました。
 渋滞について着目したのは今から30年前。人、車、物の流れの渋滞の仕組みや解決法を数学的に解明する「渋滞学」を生み出されました。そして神経細胞による渋滞がアルツハイマーの原因の一つであると講演の最初から興味を引きます。
 人の流れも、車の流れも全て実証実験が行われた結果を得て、数学的に解明されています。人の流れは1平方メートルに2人になると臨界密度になるとのこと。2020年のオリンピック開催にはこの渋滞学が採用されましたが、開催2週間前に無観客となって実際に活用する機会がなくなってしまいました。但し、この研究がイグノーベル賞(人々を笑わせ考えさせた研究に与えられる賞)に至ったそうです。そしてハロウィーンで起こった韓国の梨泰院事故も検証されています。
 人も詰めすぎなければ渋滞が起こらない、また車も早く進みたかったら車間距離を取ればよいことで、ちょっとした思いやりがその渋滞を解決するのではないかと思う講義でした。
 学生からも新宿駅の小田急線とJR乗り換えの渋滞がきになっているとの質問に、「そう!今、それを研究しています」と身近な質問もあって難しく思われた渋滞学が、もっと身近に解決方法があるのではないかと考える機会となりました。

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