学友会より

マリア像お披露目式

日時 : 2022年12月21日(火)
場所 : K-12東山校舎
 マリア像は旧中学部校舎(現大学6号館 Science Hall)の木造校舎の東側にあった小さな祠に安置されていました。1984年、新校舎の完成に伴いマリア像も学習校舎裏(現K-12東山校舎裏)に移転されました。当時の美術科教諭の増田正雄先生が祠を自作され長年安置されていましたが、東日本大震災で祠が傾き、斜めに落ちそうになっていたマリア像を警備の方が救出し、中学年事務室に移動されました。長きに渡り風雨にさらされてきたマリア像は劣化が進み、そのお姿を目の当たりにした当時の中学年教育部長酒井先生がなんとか元のお姿に戻すことはできないかと、働きかけていた時に卒業生の小川和洋さん(芸美88)の申し出により、当時IBの美術教諭であった栗田絵莉子先生(現芸術学部助教)とお二人で修復作業が始まりました。その後、栗田先生が呼びかけた生徒も加わり、2020年11月に修復作業を終えました。
それから2年。その思いが引き継がれマリア像を安置する聖堂がK-12東山校舎の2階に完成してお披露目式を迎えました。「侵食が進み、何とかならないかと心残りのまま退職しました。誰がかけたのか、マリア様に願いをかけていたと思われる銀色の十字架のネックレスがかかっていました。このマリア像は1960年代の中学部長であった岡田陽先生が、ヨーロッパから買い求められてきたと思われます。生徒の思いを背負ってきたマリア様を小川さんと栗田先生、そして使徒たちの手作業による修復を終えて、このような日が迎えられて安心いたしました」と酒井先生からご挨拶がありました。
 続いて、修復作業に携わった生徒2名が思いを語りました。
「修復に参加したのは中学2年生の夏休みでした。主に台座部分の修繕と全体の研磨作業を行いました。修復したマリア像は真っ白だったので、元の色に近づけるための着色作業も行い、古く見せるための着色は初めての経験でした。聖壇作りは10年生の冬休みからアートラボの活動として美術科教諭の瀬底正宣先生のお声がけから始まりました。マリア様を安置できるところを探し、デザインを決めていきました。聖壇の台座制作は途中から後輩に引き継ぎ、壁の土壁は竹で櫓を作るところから、そして透かし彫りの柱から見えるガラスの制作は栗田先生とともに大学のガラス工房で作りました。聖堂の周囲はマリア様の象徴としてユリの花をデザインしたり、照明の配線も考えたりと、貴重な体験させてもらいました。語りたいことはたくさんあります」と修復そして聖堂の制作に携わったプロジェクトを代表して森望瑛さん、野母明美さんが制作過程や苦労したところなど、思いの丈を語ってくれました。
コロナ禍の自宅学習期間の休止などを経て、4年の歳月をかけたプロジェクト。マリア像はこれから先も多くの児童生徒たちを見守ってくださいます。
「アートラボは生徒主体でビジョンを問わず活動できることとなり、マリアプロジェクト(長期プロジェクト)は素晴らしい活動となりました。アートラボの将来性に注目し、発展してほしい」と中西先生の挨拶で締めくくられました。


      『台座は玉川の桜の木』

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