学友会より

教育学部寄附講座 開催報告

日程 : 2023年6月29日(木)
講師 : 関野浩之さん(文学部芸術学科演劇専攻1985年卒)
題目 : 話すということ

 関野さんはプロ野球ドラフト会議で選手の名前を読み上げている声の持ち主、というと多くの方がすぐに思い出せるかと思います。サッカーの日本代表スタジアムアナウンサー、そして2020東京オリンピックの開会式と閉会式の司会も務められました。
 役者を目指していた関野さんが、役者の道を諦めて話すことの大切さを語ってくださいました。
『どうしたら関野さんのような仕事に就けるのですか。』という質問を受けた時には、『運・タイミング』と言っていましたが、今思えば夢をあきらめたからということに気が付いたと関野さん。
 高校3年生の12月までは建築家を目指していたそうですが、友人に誘われて観た舞台に刺激を受け、年が明けて役者になりたいと、都内で実技が学べる大学はないかと大学紹介本を立ち読みして玉川があることを知ったそうです。理系から文系への変更は、担任の先生に凄く怒られたそうですが、「僕が受ければ受かる」と現役で合格。当時の演劇専攻科は1年生から4年生まで約100名位の学生数で、縦社会を学ぶのにも丁度良い人数で充実した4年間を送り今もなお、入学して良かったと関野さん。その学生時代に表現について叩き込まれたことが自信となり、表現のベースを学んだそうです。
 声をかけられた社長さんの企画会社に就職。26歳のときにディズニーのオーディションを受けて2年間はキャストとしても活躍されました。しかし10年間役者を目指したけれど、役者になるには努力だけではどうにもならない天性の部分もあると、役者の道を断念。役者の道を諦められたのは、役者になるために真剣に向き合ったから。役者をあきらめても表現者になりたい。しかし、その仕事はオーディションでつかみ取るしかないと100以上のオーディションを受け続けた中で、TBSの番組紹介に受かり、その後20年以上続きました。「人生ってわからない。可能性を自分でつぶしてはいけない」と関野さん。
 そしてフジテレビのプロ野球ニュースでスポーツナレーションと担当することになり、ただ読むだけでなくスポーツを理解して仕事をするうちに、35歳でサッカー日本のスタジアムアナウンサーを任されるようになりました。
 その時々に与えられた仕事に真摯に向き合ってきたからこそ、次のステップに向かっていける。61歳になった今も、アメリカやヨーロッパでは名物DJがいます。そんな人物になりたいと夢があります。とこれまでの経験を交えてお話ししてくださいました。
 そして社会にでて40年学んできた話し方の4つのポイントを教えてくださいました。
① 声を前にだす。
② 語尾は伸ばさない
③ 句点ばかり打たない(主語をつける)
④ えー、あのーを使わない

 何処に向かって、誰に話しているかとターゲットを意識すれば、声のトーン、ボリュームがきまります。会話はキャッチボールと同じで、相手が取りやすいボールを投げるように相手を意識すること、相手を思うことが大切。教育者になる皆さんは、誰に向かって話しているのかを念頭においてほしいと、実際に学生をステージに立たせて、同じ文章を読んでもらい、その違いを感じる講座となりました。そして「やりたいことをして悔いのない4年間を過ごしてほしい」と締めくくられました。

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