学友会より

文学部国語教育学科寄附講座 開催報告

日程 : 2023年11月29日(水)教育棟2014教室
講師 : 市川 高麗蔵さん(神辺 晃・高等部1976年卒)
題目 : 歌舞伎について

 中学・高校の国語教員免許取得希望の文学部国語教育学科2年生対象に、来年3月の歌舞伎鑑賞に備えて歌舞伎俳優ご本人の講義をという要望が叶い開催されました。
 「歌舞伎は間口が広く、古典歌舞伎と新作歌舞伎がある。娯楽と思って触れてほしい」と高麗蔵さん。歌舞伎は400年ほど前に出雲の阿国がかぶき踊りを創始し、このかぶき踊りが様々な変遷を経て、現在の歌舞伎となったこと。また、歌舞伎俳優は世襲制といわれているけれど、現在300人ほどの役者さんがいるうちの半分は国立劇場の研修所出身であると、俳優の構成についても説明してくださいました。そして歌舞伎には顔に隈取をする荒事、ラブストーリーの和事、武家社会を扱った時代物、庶民が題材の世話物があると、ご自身が演じられた時の女形と立役の写真を投影しながら、その時演じたセリフを実際に演じてくださいました。
  歌舞伎は午前の部で立役、夜の部では女形を演じることもあり、役を楽しむ舞台でもある。 歌舞伎がお休みの時は重たいかつらや衣装に負けないよう、体力をつけるためにジムに通っていること。また、舞台初日までのお稽古は3回から4回。個人で先輩のところに行って教えていただいたり、黒子で先輩の芝居を覚えたりするなど、歌舞伎界全般にわたってお話してくださいました。
  講演後の質問では「舞台で失敗することはないのか」という質問に「失敗を気づかせないのも芸の内ですよ」と、その場で対応していることや「大向こうから声をかけたい」という質問にも真摯に答えられていました。
 高麗蔵さんの初舞台は4歳の時。お父様は日本舞踊家のため、おじ様が親となって市川百々丸 、二代目市川新車 、十一代目市川高麗蔵と名跡を継いできたそうです。
  女方。時代物・世話物を問わず、若女形から花車方までを巧みに演じ分けることのできる貴重な存在として活躍されていらっしゃいます。

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